'62 語学・新刊 ←
語学系では,2月,医学の関連分野として語学書も手掛ける南江堂が田中康一「美しいドイツ語」をシート6枚とレコード3枚の2タイプで発行.第三書房が月刊誌「ドイツ語」の新年度予約特典として発音練習用レコード2枚を配布,月刊誌「ふらんす」5月号に「発音のコツ」のフォノカードを付けた白水社が,10月10日,人気シリーズとなる「白水社シートブックス」シリーズ(1発音編,2入門編,3会話編.各シート5枚)を「フランス語」,「スペイン語」,「ロシヤ語」,「中国語」のいずれも「1発音編」よりスタートしている(「ドイツ語」は63年3月,「イタリア語」は64年10月).
新規参入では,1月,ホルダージャケットタイプの月刊誌「今月のベストスリー」がフォノシート・サービス出版部より創刊されるが,8月号で途絶.また,4月,ビックエムレコードの「VIC・M BOOKS」がニッポンエコー製シート2枚「夜のタンゴ」で創刊,7月のホルダージャケットタイプ「これがマジックタンゴだ」まで発行された.
'62 朝日ソノプレス社 ←
朝日ソノプレス社は,1月,硬質両面シート採用の『ソノラマレコード』の発売を発表.これは仏誌『sonorama』にも登場するバークレーをはじめ,同じくフランスのボアドール,ベガ,イタリアのリコルディ,スペインのイスパボックスといった海外原盤を軸とするシリーズで,ジャケットも海外盤の図版が流用された.第1回2月1日の新譜は,WLP−1「ダリダは歌う」,SLP−1「ダリダのロマンティカ」,SEP−1「ブラボー!マレーネ・ストルツ」,SEP−3001「オー・ソレ・ミヨ」など,WLP規格3,SLP規格4,SEP規格9,SEP−3000シリーズ3の計19点(W:20cm,S:17cm,L:LP,E:EP,P:ポピュラー).3月には,WLN−1「スリー・グレイセスの唱歌集」(N:日本)などの国内盤,さらに,岡崎広志,ブルドッグ・滝といった自社専属歌手の作品も加わり,6月までに72点が発売された.
4月30日,20cmシート,大型ブック採用の「E」規格『ソノラマレコードブック』がシート2枚,原色ジャケットが目を引く「これがTWISTだ」よりスタート,7月15日のE−3「巴里に歌えば」から両面シートとなり,以降,音楽物全般を受け持った.これにより「B」規格は子供向けや趣味・実用担当となり,12月15日のB−55「奇術に強くなる本」まで進む.
「C」規格は一昨年の「パルロン・フランセ」に続く語学シリーズ,C−18「スペイン語を話そう」,C−19「人間天皇」,C−20,21「広沢虎造清水次郎長伝」(全2巻)や「豊増昇シリーズ」のクラシック,楽器練習教材を送り出し,『ソノラマ映画音楽』も6月21日の第9号から20cm両面ステレオシートとなり,12月21日の第15号まで進んだ.『ソノラマ』本誌は,問題の多かったシートのバインドを1月号より廃止する一方,「唯一の音の出る総合月刊誌」として,「ルポルタージュ」「日本の音」「旅」「ソノラマ劇場」「ミュージック・プロフィル」「ジューク・ボックス」という6枚のシート構成をアピールしたが,8月号からはシート4枚,連載はルポと日本の演奏家を特集する「コンサート・ホール」のみとなる.
本年,朝日ソノプレス社が見せたレコード会社への転身の試みは,日本コロムビア,テイチクの参入による「歌謡曲シート時代」の開始を受けて,コダマプレスにも波及するものだが,硬質盤,あるいは,EPとは言え,やはりシートであり,実質的には従来のシート出版物から冊子を省いた商品に他ならず,この時期のブックの大型化は,頁数の減少を伴ったことから,「E」規格も大判の図版ばかりが目に付くシリーズとなってしまう.
'62 コダマプレス ←
8月8日発行の第30号を境に「映画音楽」に収束していく本誌「KODAMA」に対して,「別冊KODAMA」では3つの大きなシリーズが展開された.
第1は,60年11月の2連作「初級ダンス教本・ブルース・ワルツ編1」「初級ダンス教本・クイックタンゴ編1」,シリーズ構成を改めた61年5月発行の第57号「初級ダンス教本3・ヴァリエーション編」以来となるダンス教本シリーズ(当初の予定は初級,中級,上級各4編,附録1編).2月28日発行の第74号「ラテンダンス教本(1)ルンバ編」より,中川三郎解説・指導の第75号「ツイスト専科」,第70号「ラテンダンス教本(2)マンボ編」,第81号「ラテンダンス教本(3)サンバ・チャチャチャ編」,第103号「ジルバ専科」で,これら後年まで版・刷を重ねることとなる.
第2は,ジャズ界の一流プレイヤーによる「プラス1ステレオ」シリーズ.毎月1つの楽器にスポットを当て,3月15日発行の第73号「サックスファンタジー」より,第77号「ピアノプレイハウス」,第82号「シンギングギター」,第86号「フラッシングトランペット」,第89号「クラリネット・メモリー」と発行された.
第3は,4月からのクラシック群.第78号「ワルツ名曲集」,(以下ステレオ)第90号「グランドマーチ」,第91号「ワルツ名曲アルバム」,第94号「白鳥の湖」,第97号「くるみ割り人形」,第98号「ハンガリア舞曲集」,第102号「シューベルト歌曲集」である.
その他,「別冊」では,童謡・ホームソング,西部劇も数点ずつ見られたが,リボン付のクリスマスセットとしても販売された11月30日発行の第101号,勝呂誉,本間千代子,藤由紀子,千葉真一,榊ひろみ,笹るみ子による「レッツ・ゴー・クリスマス/青春スター★歌のパレード」は,年明けからの映画TVスターによる「歌謡コダマ」シリーズの鏑矢的存在であった.
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